秋の午後、新国立劇場。
ガラス越しに淡い光が滲み、空気はどこかしっとりとしていた。
13時開演のオペラというのは、夜とは少し違う。
どこか現実と夢のあいだに浮かんでいるような感覚がある。

幕が上がる前の、客席のざわめきがゆっくりと沈んでいく。
やがて、恋と貧しさが交錯するその物語に、劇場全体がゆっくりと包まれていった。
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幕間、二幕と三幕のあいだ。
カフェ・モミュスの賑わいから、雪の夜明けの静けさへと向かうその前に、
ホワイエで一杯のシャンパンを受け取った。
グラスの中の泡が、昼の光を受けてゆらゆらと踊る。
軽やかな音楽の余韻と、少しの切なさが、胸の奥でゆっくり溶けていった。
やがて、ミミとロドリュフの恋は静かに終わりを迎える。
その静けさが、ホール全体に広がっていくのを感じた。
やがて、その余韻は午後の雨の気配の中に、静かに溶けていった。

新国立劇場 オペラ
新国立劇場オペラ公演のご案内。新国立劇場では名作から世界初演の新作まで、世界水準の多彩なオペラを上演しています。