先日、コレド室町にある「ラ・ボンヌ・ターブル」で、ディナーのコースを堪能しました。シェフが厳選した季節の食材と、絶妙に合わせられたワインのペアリング。2024年12月14日、この日のメニューはまさに冬の豊かな素材が詰まった一皿一皿でした。
野菜 / Farm to Table
ペアリング:タケダワイナリー「Sans Soufre Blanc 2024」(日本・山形)
カラフルな野菜たちが芸術作品のように並んだ一皿。大根、ロマネスコ、蓮根、ズッキーニなど、季節の野菜がそれぞれの風味を引き立て合い、噛むほどに自然の甘みが広がります。
合わせられた山形の「Sans Soufre Blanc」は、無添加・自然派の白ワイン。柑橘系の爽やかな香りとほのかな酸味が、野菜のフレッシュさを際立たせ、優しい余韻を残しました。
椎茸の軸焼き、熟酢クリーム、胡桃、ディル
ペアリング:新亀 純米酒(日本・埼玉)
炭火で香ばしく焼き上げられた椎茸の軸は、独特の歯ごたえと凝縮された旨味が魅力。熟酢クリームのほのかな酸味が軸の甘みを引き立て、胡桃の食感とディルの爽やかさがアクセントを添えています。シンプルながらも奥深い味わいが楽しめる一皿でした。
合わせたのは埼玉県の神亀酒造が誇る「神亀 純米酒」。米本来のふくよかな旨味と柔らかな酸味が特徴で、燗にすることで料理全体の風味を引き立てます。椎茸の炭香や熟酢の酸味、胡桃の香ばしさと寄り添い、料理と酒が互いの魅力を最大限に引き出す見事なペアリングでした。
鰹、栄螺、若布、焼き茄子、オカヒジキ
ペアリング:Giz Vinhas Velhas Tinto 2021(ポルトガル・バイラーダ)
鮮やかな赤身の鰹に、栄螺のコリコリとした食感、焼き茄子と若布の滋味が加わり、海の香りが一皿に凝縮。添えられたオカヒジキが爽やかな青みを添えています。
ペアリングの「Giz Vinhas Velhas Tinto 2021」は、瑞々しい果実味とフレッシュな酸が特徴の赤ワイン。鰹の香ばしさとワインの程よい酸味が響き合い、軽やかな飲み心地が料理の旨味を引き立てます。シンプルながら洗練された組み合わせに心が躍りました。
白子のポワレ、ちぢみほうれん草のリゾット、柚子、トマト
ペアリング:Damijan Ribolla Gialla(イタリア・フリウリ)
真冬のご馳走である白子は、外は香ばしく中はとろりと仕上げられ、翡翠色のちぢみほうれん草のリゾットが美しい一皿。柚子の香りとトマトの酸味がアクセントになっています。
ワインは、イタリア・フリウリ地方の「リボッラ・ジャッラ」。果皮とともに醸されたオレンジワイン特有の厚みとしっかりした酸が、白子のリッチな旨味と見事にマッチ。柑橘やハーブを思わせる香りが料理に寄り添い、全体に洗練された余韻をもたらしていました。
河豚のロースト、銀杏、茸、三つ葉、蕪、酢橘
ペアリング:ハンガリー産白ワイン(エチケット非公開)
このお皿には、ハンガリー産の白ワインがペアリングされました。グラスからはレモングラスを思わせる爽やかな香りが立ち上り、心地よい酸味とミネラル感が特徴的。
河豚の淡白な旨味と出汁の奥深さに、ワインの清涼感が寄り添い、酢橘の軽やかな酸味とも見事に調和しています。料理の繊細な味わいに、ワインの透明感が加わり、シンプルながらも余韻のあるペアリングを楽しむことができました。
蝦夷鮑のパイ包み、ブールブランソース
ペアリング:シルバー・ハイツ リザーヴ シャルドネ(中国・寧夏)
サクサクのパイ生地に包まれた鮑は、噛むたびに旨味があふれ出し、バターのコクが広がるブールブランソースが見事に寄り添います。
中国語でシャルドネは「霞多丽」。青リンゴやレモンピールの爽やかな香りに、バニラのニュアンスが調和し、しっかりとした果実味と美しい酸味が特徴です。このワインのキレのあるミネラル感が、鮑の旨味とブールブランソースのコクを引き立て、見事なマリアージュを演出していました。
十勝ハーブ牛の稲藁焼き、洋梨、里芋、コンテ、ローズマリー、仏手柑、スパイス
ペアリング:ストレコフ1075 フランキー 2022(スロバキア)
香ばしく稲藁で燻された十勝ハーブ牛に、洋梨の甘みと里芋のほくほく感、コンテチーズのコクが絶妙に絡み合う一皿。ローズマリーと仏手柑の香りが爽やかなアクセントを添え、スパイスが全体を引き締めています。
ストレコフ1075の「フランキー 2022」は、鮮やかな色合いと軽やかな飲み口が特徴の赤ワイン。メンソールを思わせる爽やかさと、驚くほどのドリンカビリティを備えています。 このワインのフレッシュな酸味と果実味が、ハーブ牛の旨味や洋梨の甘みと調和し、料理全体の味わいを引き立てます。
しまなみマドンナ、ヨーグルト酒のソルベ / 鬼灯、柘榴、柿、ほうじ茶のアイスクリーム、胡麻のメレンゲ、マロンクリーム、アカシア蜂蜜
ペアリング:Barbeito 10 Year Old Malvasia Madeira(ポルトガル・マディラ)
柑橘香るソルベと、秋冬の果実が添えられたほうじ茶アイスクリーム。和の香ばしさとフルーツの甘みが共演し、最後にふさわしい一皿でした。
ポルトガルのマデイラワイン「バーベイト 10年 マルヴァジア」は、蜂蜜やナッツの風味が豊かに広がり、デザートに深い余韻をもたらしてくれました。
食後のお茶と小菓子
最後にはほうじ茶とともに、小さなショコラが提供されました。濃厚なショコラと香ばしいお茶の組み合わせが、心まで満たしてくれる締めくくりに。
「ラ・ボンヌ・ターブル」では、ひと皿ごとに冬の旬と素材の組み合わせに驚かされました。落ち着いた空間で、見た目にも美しい料理の数々を堪能できる、特別な時間。丁寧に作られた料理は、まるで季節の物語を読み進めているかのようでした。また次の季節にも訪れ、この物語の続きを味わいたくなる、そんな特別な夜となりました。